鰹通信

文筆屋ささきかつお のblogです。近況、お知らせ、読書日記など書いてます。

生き残り

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【読書日記】8/9読了

『生き残り』古処誠二角川書店

 

いやもう、この本はすごい。

著者の作品はかなり前から注目していました。

第二次世界大戦の、主に南方線線で敗色の濃い日本軍の

有り様を、見て来たのでは? というくらいにリアルに

描いた作品たち、いつか直木賞いくぞ、と思ってました。

極限状態の心理描写、相手との間合い、どれも凄いです。

で、この作品も、戦時下のビルマで、

傷病兵が中隊から切り離され転進する、のですが、

途中で一人、一人とゲリラ に殺されていく……のではない、

内部の誰かに殺されているのだ、と。

生き残った一人の兵隊が、他の下士官の元へ行くことで

事態が急展開するのですが、一級のミステリと気づく。

うわあ、これ、すごい、と声を上げてしまった。

オレ、直木賞の選考委員なら、この作品を推挙したいです。

そのくらい「!」になった一冊でした。

 

 

 

 

 

 

 

闇市

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【読書日記】8/5読了

闇市マイク・モラスキー編(新潮文庫

 

戦争を考える季節になりましたね。今年の一冊はこれ。

戦中戦後の「闇市」が作中に現れる小説を集めたもので、

太宰治坂口安吾永井荷風野坂昭如などなど、

錚々たる作家の名が連なるのですが、所謂代表作ではない、

けれど、どの作品も、戦中戦後のギリギリの生活をしてきた

市井の民のエネルギーが漲っていて、あっちゅうまに読了。

これは出逢えて嬉しい一冊でありました。

この本を手に取ったからこそ出逢えた作品、作家さんもあり、

鄭承博さんの実体験的な話なんかは人間味溢れていて、

それでいて抑えた筆致に引き込まれましたよ。

こういう企画、いいですね。編者、版元(初版は皓星社)の

心意気みたいなものが、ヒシヒシと感じられます。

かな〜り、オススメです。

 

 

 

 

 

 

 

 

火影に咲く

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【読書日記】8/1読了

『火影に咲く』木内昇集英社

しみじみと、イイ本だなあ、と読了後につぶやく。

頃は幕末、とあればお馴染みの英雄たちの話……

ではなく、脇キャラの逸話を、丁寧に丁寧に描く。

決してドラマチックなスジではないのだけれど、

ああ、ここにも歴史に携わった人がいるのだな、と。

 

……なんか最近、歴史モノばかり読んでるな。

 

 

 

 

 

 

 

星夜航行

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【読書日記】7/27読了

『星夜航行』飯嶋和一(新潮社)

上下巻で計1100ページある大作、読了に一週間かかったけれど、

それはそれは幸せな読書でありました。

時は戦国、家康の嫡子・信康に使えていた男の一代記。

侍から商人となり、南蛮貿易や秀吉の朝鮮出兵に奔走した男の、

それはそれは濃密なお話でありました。

ガルシア・マルケスの『百年の孤独』を読んでる時みたいな感覚。

作者・飯嶋さんは寡作で知られる方ですが、

それは、こんなに濃密な本を書いておらるから当然と思います。

著作を読めば、ほかの歴史、時代モノが薄く感じてしまう。

久しぶりに「あ〜本を読んだぁ!」って思いましたよ。

 

 

 

 

 

 

 

がいなもん 松浦武四郎一代

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【読書日記】

『がいなもん 松浦武四郎一代』河治和香(小学館

イヤアアア、暑いっすね。こんな猛暑下は、涼しい室内で

読書に限ります。

さてこのところ、浅田次郎先生の『天子蒙塵3』など、

ガッツリ歴史ものに浸っているんですが、この本。

北海道の名付け親、としてテレビ番組で見たことアリ。

どんな人なのだろうと思っていたら、

幕末から明治にかけて日本中を巡った奇人変人さん。

その博覧強記、人脈、趣味人ぶりは羨ましい限り。

一代記ですが、晩年の翁が語る昔話で、狂言回しが

知己のあった河鍋暁斎の娘さんだったりして、オモロ。

歴史の教科書に出て来るような人が次から次へと。

楽しませていただきました。