鰹通信

文筆屋ささきかつお のblogです。近況、お知らせ、読書日記など書いてます。

ひと

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【読書日記】9/12読了

『ひと』小野寺史宜(祥伝社

心の底がジンと暖かくなる本。出逢えてよかった。

恥ずかしながら、小野寺さんはノーマークでした。

とりたてて大仰なストーリーがあるわけでもない、

とてつもないキャラいるわけでもない、

いたって普通の、今を生きる「ひと」がいる。

親を相次いで亡くし、大学を中退して底にいる若者が

ふとした出会いで前を向き、先を考えていく。

それだけの話なのに、何故だろう、涙が出るくらいに

行間から感情がこぼれ落ちてくるのが読んでいてわかる。

この感覚、吉田修一の初期作品、柴崎友香作品が

好きな人ならわかってくれる(と信じたい)はず。

それと主人公視点の、デティールに凝った描写も好き。

南砂町から大手町まで行かず、手前の日本橋で降りた方が

東西線の運賃が少し安くなるとか。

ちゃんと見て、感じて、丁寧に描いている、そんな作品。

久しぶりに人にオススメしたい一冊です。

 

 

 

 

青少年のための小説入門

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【読書日記】9/5読了

『青少年のための読書入門』久保寺健彦集英社

著者デビュー時「わあ、すごい作家さん出て来た!」と

驚いていたのを覚えています。(→参照

その後しばらく拝読していなかったのですが、

こんな面白い作品を書かれていたのですね。脱帽です。

冴えない中棒と、ディスクレシア半グレヤンキーが出会い、

共作で作家となっていく物語。

熱い、キャラが濃い、メタが深い、回想のカタルシス

スタンドバイミーとか、ニューシネパラとか彷彿で切ない!

ああ、やっぱこの作家さん、いいわあ! と読了。

ラストの1行で、思わず唸っちゃった。

 

 

 

 

 

 

 

ポノック短編劇場 ちいさな英雄

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昨日、嫁さんと二人で日比谷の映画館に観に行きました。

いやあ、面白かったですよ。

カニ兄妹の冒険譚を描く、風景描写(特に水中)の映像美。

食物アレルギーを抱える男の子と母親の心情。

そして「存在とは?」を問いかける透明人間の不条理劇。

短編集だから出来る、ギュ〜っと圧縮された三作品の魅力は

それぞれ異なっており、一言で紹介できないのがもどかしい。

「カメ止め」もイイんですけど、創作に関わる友人たちには、

是非この映画を観て欲しいと、切に思うのでありまする。

 

みんな、観に行って! 面白いから!

 

 

 

 

 

 

朝鮮大学校物語

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【読書日記】8/29読了

朝鮮大学校物語』ヤン ヨンヒ(角川書店

数年前、

飯田橋ギンレイホールで「かぞくのくに」という映画を観た。

在日家族の、ヒリヒリとした葛藤や感情に心が揺さぶられた。

その映画監督が著者であると知ったのは、本を手にしてから。

1980年代、私事、当時高校生で、隣町にこの学校があるのは

知っていたけれど、それ以上の知識はなかった。

30年の時を経て、自叙伝的ストーリーで塀の中の「異国」が

まざまざと、あざやかに浮かび上がってくる。

アイデンティティ、母国思想への反発、恋、夢……。

ギューっと詰まった青春物語に、ガッと心が鷲掴みされる。

これは、いい本だなあ。出逢えたことに感謝したいです。

地味なんだけど、実は装丁もかなりいい味出してます。

 

 

 

 

六花の印〜連城三紀彦傑作集

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【読書日記】8/28読了

『六花の印〜連城三紀彦傑作集』(創元推理文庫

著者の名前は知っていたし、著作も読んでいた。

けれど、あらためて“傑作集"を読んでみると、本当に傑作だった。

収められた短編&エッセイは、想定外の謎解きはキレッキレだし、

耽美的でうっとりするような流麗な文体は、それはそれは美しい。

なんで今まで、この作家さんのスゴサに気づかなかったのだろう。

惜しくも5年前に他界され、新作を読むことは叶いませんが、

これから時間のあるときに追い続けてみようと思います。

オレ、こういう小説を書きたかったのかも知れない。

 

 

 

 

 

 

 

『モツ焼きウォーズ』感想文ヒント?

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児童書を書いている作家の「あるある」で

夏休み後半にブログのアクセス数が急増します(笑)。

藁にもすがりたい気持ち、わかります。

 

2016年にポプラ社さんから発行した拙著ですが、

東京の下町を舞台に、駅前再開発に反対する

老舗モツ焼き屋一家の奮闘を描いたコミカルで

ファンタジーで、ハートウォーミングな一冊です。

で、

もし、この本で読書感想文を書こうと思っている君。

例えば、こんな順番で書いてみるとイイですよ。

1 まず自分の話(好きな食べものとか)

2 で、どうして、この本を選んだか?

3 簡単に、この本の紹介「東京の下町を〜」

4 作品で一番好きなシーン、セリフ(と、その理由)

5 この作品から影響を受けたこと

 

作者のオジサンは「書評」という、本を紹介する仕事も

しているのですが、上記の手法で書いてます。

 

近所の小学校は、8/27月から2学期のようです。

あと二日、ガンバレ、まだ間に合うぞ!

 

 

 

 

 

泥濘

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【読書日記】8/16読了

『泥濘』黒川博行文藝春秋

“疫病神シリーズ”の最新作。文句なく面白い。

ヤクザの桑原、一応カタギの二宮コンビが、

今度は老人ホーム、オレオレ詐欺に金脈を見つけ、

その筋、はたまた警察OBとやりあう話。

テンポのよさ、会話の妙、メシの美味しさなど、

その魅力は多々あるけれど、個人的には

大阪中の悪い話、悪い人の話、がてんこ盛りなのが

惹きつけるのかなと思っております。

業界用語、いろいろ勉強になるし。