鰹通信

文筆屋ささきかつお のblogです。近況、お知らせ、読書日記など書いてます。

ライフ

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【読書日記】9/26読了

『ライフ』小野寺文宜(ポプラ社

小野寺さんが描く、社会のメインストリートを

ちょっとだけ外れてしまった若者が好きです。

それは親近感だけでなく、彼の存在を肯定する

筆致や周囲の人たちの善意が垣間見えるから。

江戸川区平井のアパートに住む井川君と

ご近所さんとの「めぞん一刻」的なお話は

妙な安定感をもっているんですが、この安定感って

おそらく主人公がフワフワしてるようで

芯はブレてない所からきてるんじゃないかと。

ど派手な展開はない、強烈キャラがいるでもない、

でも読んでいて気持ちのいい作品でした。

山本幸久さんの作品や、横道世之介が好きな人なら

ハマると思います。秋の夜長に楽しい読書でした。

 

 

落花狼藉

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【読書日記】9/26読了

『落花狼藉』朝井まかて双葉社

個人的にですが、今年のNo.1(現時点で)。

遊郭・吉原を題材にした話は落語、歌舞伎や、

あまたの時代・歴史小説にも出て来ます。

引き込まれたのは、華やかな世界観だけでなく、

江戸の初期、駿府から今の日本橋人形町あたりに

築かれた旧吉原から始まる話であり、苦悶し

奮闘する女将の生き様、そして江戸の裏風俗が

ちら、ちら、と見えてくるところ。
もちろんフィクションではありますが、かなりの

時代考証をされたと思われる緻密な描写と

泥臭いほどに抉った人物の心情描写ってば、

そこいらの時代小説が霞んでしまいます。

うん、これは傑作だなと思い、多くの人と

この本の素晴らしさを共有したいでありんす。

 

 

 

 

また明日

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【読書日記】9/21読了

『また明日』群ようこ幻冬舎

群さんが描く、飄々としてホンワカとして、

でも人生の芯をついている筆致が好きです。

人を見据えておられるのだなあ、と。

本書は昭和〜平成を生き、再会した五人の

クラスメイトの、それぞれの物語です。

時間の縦軸と、友だちという横軸。

平凡のようで、それぞれにドラマがあって、

もがいて、受け入れて、流されて、今がある。

読み手のあるあるを突きながら、

読み込ませるのは群さんだから。

 

個人的には第四話の、

大工の次男で楽して生きようとするカツオが

どツボでした。だってこれ、俺だもん。(笑)

 

 

 

 

 

 

蓮二のレンズ 演芸写真家・橘 蓮二が切り取る世界

【読書日記】9/13読了

『蓮二のレンズ〜演芸写真家・橘 蓮二が切り取る世界』

 Pen+(CCC メディアハウス)

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写真グラビアのMOOK本を紹介するのは珍しいのですが、

これは別格だと思います。

写真家・橘蓮二さんがカメラに収めた芸人さんたちは、

その瞬間の息づかい、緊張と緩和、矜持と道化 etc……が

ギュ〜〜〜っと詰まっていて、一枚一枚に引き込まれる。

これらはすべて、橘さんじゃないと撮れない写真。

長いこと寄席に通い詰め、噺家さんと信頼関係を深め、

その姿を追い続けたからこその、この一枚なんだと。

たとえば、P21の立川談志さんのおどけたポーズ。

たとえば、P39の春風亭昇太さんの楽屋での一枚。

鳥肌が立つくらいに、その人、その気持ち、被写体への

まなざしが伝わってくるではないですか。

永久保存版として、大事に、大事にとっておきたい一冊。

 

PS1

もう一冊入手し、ご朱印帳として登場した方々に

サインをいただく──というのも楽しいかも。

 

PS2

私事、橘さんと30年近く親しくさせていただいており、

いつか著者近影を撮っていただくのが夢です。

 

地先

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【読書日記】9/5読了

『地先』乙川優三郎徳間書店

滋味……という言葉が読了後に浮かびました。

乙川先生の作品は味わい深いものが多いのですが、

本作も期待通り「ああ、小説ってイイなあ」と。

これといって波乱の展開があるでもない。

登場人物は、どこにでもいる市井の人々である。

なのに描き出される彼、彼女の今を生きる姿は

等身大の読者にタブらせる優しい視線がある。

ほんと、どこにでもいる感じの主人公たちなんです。

でも、でも読み込んでしまうんです。

これはやはり筆力なのかなあ……と一人で分析。

秋の夜長には染みますよ。これは。

 

 

 

 

 

 

重版御礼

(=゚ω゚)ノ おはようございます。執筆に参加させていただいた

『ラストで君は「まさか!」と言う』(PHP研究所

「予知夢」編が11刷、「恐怖の手紙」編が3刷となりました。

ありがとうございます! 同シリーズで書かせていただいた

『Q部あるいはCUBEの始動』もよろしくお願いいたします。

 

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Rのつく月には気をつけよう 賢者のグラス

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【読書日記】9/1読了

『Rのつく月には気をつけよう 賢者のグラス』

石持浅海祥伝社

個人的には、待望の続編です。

大学時代からの仲間が酒を酌み交わしながら、

何気ない日常の謎を、その場で解いていく話。

どーってコトない短編の連続なんですが、

いやいや、なかなかに読みごたえのある一冊です。

毎回、美味そうな酒と肴が登場し、

彼らの会話によって話が進むんですが、

続編は歳月を重ね、彼らの子供たちも登場する。

ウエットに富んだ、とか、エスプリの効いた、とか

そんな言葉がピッタリお話がずらりなんですが、

最後の最後には……うん、やられたって感じです。

初秋の夜読書にはピッタリでした。ご馳走様でした。

 

追記

実は装丁も、かなーりシャレオツなんですよ。

特殊インクを使ってたりしてて。