鰹通信

文筆屋ささきかつお のblogです。近況、お知らせ、読書日記など書いてます。

蓮二のレンズ 演芸写真家・橘 蓮二が切り取る世界

【読書日記】9/13読了 『蓮二のレンズ〜演芸写真家・橘 蓮二が切り取る世界』 Pen+(CCC メディアハウス) 写真グラビアのMOOK本を紹介するのは珍しいのですが、 これは別格だと思います。 写真家・橘蓮二さんがカメラに収めた芸人さんたちは、 その瞬間の息づ…

地先

【読書日記】9/5読了 『地先』乙川優三郎(徳間書店) 滋味……という言葉が読了後に浮かびました。 乙川先生の作品は味わい深いものが多いのですが、 本作も期待通り「ああ、小説ってイイなあ」と。 これといって波乱の展開があるでもない。 登場人物は、どこ…

重版御礼

(=゚ω゚)ノ おはようございます。執筆に参加させていただいた 『ラストで君は「まさか!」と言う』(PHP研究所) 「予知夢」編が11刷、「恐怖の手紙」編が3刷となりました。 ありがとうございます! 同シリーズで書かせていただいた 『Q部あるいはCUBEの始動…

Rのつく月には気をつけよう 賢者のグラス

【読書日記】9/1読了 『Rのつく月には気をつけよう 賢者のグラス』 石持浅海(祥伝社) 個人的には、待望の続編です。 大学時代からの仲間が酒を酌み交わしながら、 何気ない日常の謎を、その場で解いていく話。 どーってコトない短編の連続なんですが、 い…

虹にすわる

【読書日記】8/14読了 『虹にすわる』瀧羽麻子(幻冬舎) これはいい本だなあ、と読了後にしみじみ思う。 とりたてて大きな事件が起こるでもない。 スーパーヒーローが登場するでもない。 けれど、登場人物の背景、エピソードの丁寧さが とても心地よくて、…

化物蠟燭

【読書日記】8/8読了 『化物蠟燭』木内昇(朝日新聞出版) ざっくりいうと、江戸市井の「あやかし」もの。 でも木内さんにかかれば、上質な江戸の粋が見える。 あまたある時代モノとは明らかに一線を画してる。 それは練られた言葉遣いだったり、 ちょっとし…

いるいないみらい

【読書日記】8/6読了 『いるいないみらい』窪美澄(角川書店) 市井の人々の、鬱屈として、如何ともしがたい日常を 描かせたら、窪美澄さんの右に出る人はいないと思う。 どこにでもいる、当たり前でありながら、 でもそれが本人たちにとっては、堪らない現…

図書室

【読書日記】8/5読了 『図書室』岸政彦(新潮社) 同世代の作家さんなんですが、大学の先生でも あられます。現代民俗学的な本も結構好きです。 本書は中編と、自伝エッセイが入ってまして、 小説は中年女性が振り返る大阪での暮らし、 エッセイは、これまた…

ザ・ベストミステリーズ 2019

【読書日記】8/4読了 『ザ・ベストミステリーズ 2019』(講談社) 推理作家協会編の、この一年に発表された短篇から、 選ばれたナイスな短篇ミステリーを収めた本。 毎年、楽しみにしている一冊です。 今回の個人的ヒットは 宇佐美まことさん「クレイジーキ…

平場の月

【読書日記】7/30読了 『平場の月』朝倉かすみ(光文社) うん、傑作だと思いました。 人生が見えて来た50近い男女、中学同級生が再会し、 静かな大人の恋が描かれている……だけではなくって、 これって恋愛小説のククリではなく、 諦観と、それにもがく人…

緋の河

【読書日記】7/24読了 『緋の河』桜木紫乃(新潮社) こんな、魂を鷲掴みにされる本に出会えることは 年に数回しかないので、とても幸せでした。 直木賞作家が紡ぐ長編は、著者の故郷のパイセン、 カルーセル真紀が主人公のモデル。 今でこそやっと普遍化し…

天才の思考 高畑勲と宮崎駿

【読書日記】7/20読了 『天才の思考 高畑勲と宮崎駿』鈴木敏夫(文春新書) 私事、ジブリ作品に出会ったのは、大学時代の トトロだったと記憶しています。 一人で吉祥寺の映画館へ行き、親子連れの中に(笑)。 以来30年近く、ほとんどの作品を観てきたわけ…

いつかの岸辺に跳ねていく

【読書日記】7/16読了 『いつかの岸辺に跳ねていく』加納朋子(幻冬舎) 加納さんの作品は、仄暗い中に、フワンとした優しさが 垣間見える感じがとっても好きで、お気に入りです。 なんですが、この作品は従来のものとは一線を画すなあと。 男女の出会いから…

短篇ベストコレクション 現代の小説 2019

【読書日記】7/16読了 『短篇ベストコレクション 現代の小説 2019』(徳間文庫) 昨年発表された名作を取り揃えた、お得な一冊。 700ページ近いブ厚さなので、毎晩少しずつ読みました。 有名な方から、ベテランさん、新人さんまで多種多様で、 ミステリ、SF…

あの子のカーネーション

私事、毎朝の日課として、ラジオ体操〜筋トレ、 からの漢字ドリル、そして敬愛する作家さんの 作品を2Pほど写文してから、その日の仕事に 取りかかることにしています。 今年、春頃から書き写していたのが、これ。 伊集院先生の若き日のエッセイ集でありま…

夢見る帝国図書館

【読書日記】6/19読了 『夢見る帝国図書館』中島京子(文藝春秋) いやぁこれ、面白いです! 現時点で今年のmyナンバー1ですね。 上野の奥にある「国際こども図書館」は 個人的にも縁のある所なのですが、 舞台はその周辺。 物書きの「私」が、喜和子さん…

検事の信義

【読書日記】6/10読了 『検事の信義』柚木裕子(KADOKAWA) 佐方貞人シリーズの最新作ですね。 罪をまっとうに裁かせることを信義とする検事。 その愚直なまでの誠実さが、組織の黒さに浮いていて、 それでも自分の正義にこだわる彼に惹かれる。 中短編を集…

白昼夢の森の少女

【読書日記】5/20読了 『白昼夢の森の少女』恒川光太郎(角川書店) 幻想的な小説を書かせたら、右に出る者はいない。 そう個人的には思っている恒川さんの短編集。 単行本に収録されてない、バラエティな作品たちです。 表題の植物化していく人々の話や、 …

トリニティ

【読書日記】5/14読了 『トリニティ』窪美澄(新潮社) 窪さんの作品には、ハッとさせられるテーマ、 言葉が詰められていて、読了後にものすごい満足と 重たい〝何か〟を感じてしまう。それが心地よい。 本書は、昭和〜平成の出版界にいた三人の女性達が そ…

同潤会代官山アパートメント

【読書日記】5/7読了 『同潤会代官山アパートメント』三上延(新潮社) 大正〜平成の70年間、そこで暮らした家族四世代の それぞれにスポットを当て綴られた連作短編集。 造られた当初はモダンの象徴だった同潤会アパートが、 時をへてレトロと化していく。…

作家カフェ

昨日(5/4土)、八重洲ブックセンターさんで 作家カフェなるものが開催されるとのコト。 「来て来て!」とパイセン作家さんにお声がけを いただきまして、冷やかしに行ってきました。 会場に着きますと、おお〜っ、盛況、盛況。 サイン会の延長みたいなノリ…

原爆 広島を復興させた人びと

【読書日記】5/2読了 『原爆 広島を復興させた人びと』石井光太(集英社) 令和に入ってからの読書1冊目。昭和の記憶を刻む。 著者は眼を覆いたくなるような事件現場に足を運び、 その出来事を真摯にとらえ、読み手に伝える名手ですが、 今なぜ広島なのだろ…

不定期連載9

第九話「地下鉄車内にて」 仕事柄、電車などに乗っているときに 人間ウォッチングをしています。 小説のお師匠様に 「作家は電車内で本を読まず、人を見よ」と 教えられたのを実践しているワケです。 昨日、編集者さんとの打合せで都心に向かう 地下鉄に乗っ…

作家の人たち

【読書日記】4/5読了 『作家の人たち』倉知淳(幻冬舎) 旧知の編集者さんからいただいたこの本。4/11発売です。 定期通院へ向かう地下鉄車内〜病院待ち時間で読了。 そして一言「しゃ、洒落になってない……(苦笑)」 出版界の内情を「毒」をもってフィクシ…

東京輪舞

【読書日記】3/28読了 『東京輪舞』月村了衛(小学館) すっげえな、この本……と嘆息しながら読了。 実在の事件と実名がガンガン出てくるから、 ノンフィクションかと思うくらいのリアルさ。 ロッキード事件を始め東芝のCOCOM事件などなど、 昭和平成を揺るが…

続 横道世之介

【読書日記】3/20読了 『続 横道世之介』吉田修一(中央公論新社) おかえり、久しぶり、世之介。 ページを捲りながら、心の中で呼びかけていた。 そのくらい、個人的に愛着のあるキャラであり、 同世代の、自分の分身みたいな存在。 前作は大学生だった彼が…

辺境メシ ヤバそうだから食べてみた

【読書日記】3/16読了 『辺境メシ ヤバそうだから食べてみた』高野秀行(文藝春秋) ここ最近の読書で、一番パンチの効いた本。 冒険家、ノンフィクション作家として知られる 著者の本は知っていましたが、辺境へ赴けば、 そこにはそこの食べものがあり、己…

キッド

【読書日記】3/10読了 『キッド』相場英雄(幻冬舎) 私事、007やミッション・インポッシブル、 キングズマンなど、スパイ物が大好物でして、 それがまた日本が舞台となれば格別です。 自衛隊特殊部隊にいた男が中国商社マンの射殺事件に 巻きこまれ、そ…

推理作家謎友録 日本推理作家協会70周年記念エッセイ

【読書日記】3/7読了 『推理作家謎友録』(角川文庫) 旅先のサイゼリアで読了。 長い歴史を誇る協会の、推理作家さんたちから 募ったエッセイを50音順に並べたものなのですが、 これがまあ、面白い。 作家協会のウラ話もさることながら、 当代著名作家さん…

こころが傷んでたえがたき日に

【読書日記】3/4読了 『こころが傷んでたえがたき日に』上原隆(幻冬舎) 或る日、ふと「友がみな我よりえらく見える日は」という 石川啄木の句を思い出し(そういう心境だったのかも)、 ググってみるとこの本の存在を知る。 啄木の句と同名タイトルだった…