鰹通信

文筆屋ささきかつお のblogです。近況、お知らせ、読書日記など書いてます。

ぎょらん

【読書日記】12/4読了 『ぎょらん』町田そのこ(新潮社) 昨年『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』がすごいと 拙ブログにて紹介させていただいた作家さんです。 待望の2作目を読めたのですが、私、終始ボロ泣きでした。 不思議なタイトルは、内容も不思議で…

不定期連載

第六話「寝耳に」 ホウホウ、という聞き慣れない声に目を覚ますと、 枕元にぼんやりと立っていたのは、 「いかにも、ミミズクである」 「な、なぜミミズクが私の枕元に……」 あ然として、その愛らしいモフモフを眺めていると、 「なぜ私がここにいるのか、知…

神さまを待っている

【読書日記】11/22読了 『神さまを待っている』畑野智美(文藝春秋) 派遣切りから転落していく女性の話。 なかなかにリアルなのは実体験もあるという。 いわゆる転落モノは数多かれど、これほど ヒシヒシと伝わってくるのは書き手の力量に ほかならないわけ…

熱帯

【読書日記】11/19読了 『熱帯』森見登美彦(文藝春秋) 森見登美彦氏の著作はデビュー時から追ってまして、 個人的には黒髪の乙女とか、毛玉たちの話が好き、 なんですが、こんな奇想譚も結構好物であります。 発売日に購入し、さっそく読み耽った晩秋の夜…

東京23区外さんぽ

【読書日記】11/15読了 『東京23区外さんぽ』泉麻人(平凡社) そのライフスタイルをリスペクトしてる泉さんですが、 東京散歩シリーズの郊外版が出たので読む。 東京は23区外にも市町村があって、私事、 人生の大半をそっちで生活して来ましたから、 そりゃ…

ダンデライオン

【読書日記】11/14読了 『ダンデライオン』中田永一(小学館) ある衝撃で二十年前の自分と心が入れ替わる、という SFがベースですが、そこに家族を殺された恋人との 出会いが関わってくると著者独特のキュン!が加わる。 とかくタイムスリップものはパラ…

新作発売のごあいさつ

( ´ ▽ ` )ノ こんにちは。作家の「ささきかつお」です。 12月13日に新作『Q部あるいはCUBEの始動』が発売されます。 しばらく、この記事をブログ上部に固定表示しますので、 最新の情報は、こちら をクリックしてくださいね。 http://amzn.asia/d/aaxqOw0 実…

沈黙のパレード

【読書日記】11/10読了 『沈黙のパレード』東野圭吾(文藝春秋) ひさびさのガリレオシリーズ、やはり傑作! この魅力って何かなあって個人的に考えるに、 被害者を思う人々の忸怩たる思いが通底し、 それが犯罪に繋がっていくという設定と、 見事な科学的ト…

不定期連載

第五話「現(うつつ)の国」 夢の国の入場制限を知らず、舞浜駅を降りて呆然としている私に、その老人は声をかけてきた。 「夢の国も結構なものだが、現(うつつ)も一興」「何のことです?」「ついて来なさい、もう一つのテーマパークだ」 時間を持てあまし…

辺境の路地へ

【読書日記】11/4読了 『辺境の路地へ』上原善広(河出書房新社) 「路地」をテーマにしたノンフィクションを数多く 手がけてこられた著者の、私小説風の回顧録。 全国の(言葉は悪いけど)場末なところへ赴き、 無頼であり、鬱屈とした内情を吐露しながら、…

日本語の作法

【読書日記】11/2読了 『日本語の作法』中村明(青土社) 物書きのハシクレとして、正しく、美しい文章を 書きたいと常日頃から思って精進しております。 そんな折に出会ったのが、この一冊でして。 滋味深い解説、昨今の名作の引用と、読ませます。 でも著…

不定期連載

第四話「翔」 営業車で都内某所を回っていた時のことである。 その日も納品が数カ所あったのだが、いつになく渋滞で得意先への到着が遅れ、いかばか焦っていた。 こんな時に限って、いつも駐車しているコインパーキングは「満」の表示になっている。 イライ…

不定期連載

第三話「古文書 ほととぎす」 我がW大学日本史研究室(虎山牛太郎教授)一行は、江戸時代中期からある竹山家土蔵の調査を行った。 そこで我々は、面白い古文書を発見したのである。『不如帰考』と銘打たれた和綴じの冊子を開くと、あの有名な「ほととぎす」…

歪んだ波紋

【読書日記】10/15読了 『歪んだ波紋』塩田武士(講談社) その人にしか書けない小説というものがあって、 それがおそらく本書だと思うのです。 テーマは所謂フェイクニュース、誤報ですね。 地方紙、全国紙、ネットニュース……と 様々な角度から、誤報に翻弄…

イカの前

昨夜の夢が、あまりにアレだったので ここに記しておきたい。 「いかにも、イカである」 そう言って現れたのは、イカだった。 海中だったかどうかは不問とする。 「なぜ、イカが?」 「知りたいのであろう、イカにとって、 どっちが前方であるかを」 「……………

不定期連載

第二話 「上あごに最中の皮」 風の中で信玄餅を食べる程の苦難を乗り切った国、 アルラカスの王女、ビルマリーは、 敵対する隣国の王子、アントニアルスに恋していた。 「ああ、愛しのアントニアルスさま、この想いを 貴方さまに、どう告げればよいのかしら…

国宝

【読書日記】10/1読了 『国宝』上下巻 吉田修一(朝日新聞出版) いやもう、エライものを読んでしまったな、と。 デビュー時から吉田さんの著作はすべて読んでいるのですが、 これもまちがいなく、傑作でしょう。 上巻は夜更かしして、下巻は読了後、興奮で…

紫陽花舎随筆

【読書日記】9/28読了 『紫陽花舎随筆』鏑木清方(講談社文芸文庫) 何故にこの本を手に取ったのか、読了した今でも それが不明なのですが、ああ、読んでよかったと。 明治、大正、昭和をまたぐ著名な画家さんですが、 絵だけでなく、文章も抜群に巧い! 画…

ひと

【読書日記】9/12読了 『ひと』小野寺史宜(祥伝社) 心の底がジンと暖かくなる本。出逢えてよかった。 恥ずかしながら、小野寺さんはノーマークでした。 とりたてて大仰なストーリーがあるわけでもない、 とてつもないキャラいるわけでもない、 いたって普…

青少年のための小説入門

【読書日記】9/5読了 『青少年のための読書入門』久保寺健彦(集英社) 著者デビュー時「わあ、すごい作家さん出て来た!」と 驚いていたのを覚えています。(→参照) その後しばらく拝読していなかったのですが、 こんな面白い作品を書かれていたのですね。…

ポノック短編劇場 ちいさな英雄

昨日、嫁さんと二人で日比谷の映画館に観に行きました。 いやあ、面白かったですよ。 カニ兄妹の冒険譚を描く、風景描写(特に水中)の映像美。 食物アレルギーを抱える男の子と母親の心情。 そして「存在とは?」を問いかける透明人間の不条理劇。 短編集だ…

朝鮮大学校物語

【読書日記】8/29読了 『朝鮮大学校物語』ヤン ヨンヒ(角川書店) 数年前、 飯田橋ギンレイホールで「かぞくのくに」という映画を観た。 在日家族の、ヒリヒリとした葛藤や感情に心が揺さぶられた。 その映画監督が著者であると知ったのは、本を手にしてか…

六花の印〜連城三紀彦傑作集

【読書日記】8/28読了 『六花の印〜連城三紀彦傑作集』(創元推理文庫) 著者の名前は知っていたし、著作も読んでいた。 けれど、あらためて“傑作集"を読んでみると、本当に傑作だった。 収められた短編&エッセイは、想定外の謎解きはキレッキレだし、 耽美…

『モツ焼きウォーズ』感想文ヒント?

児童書を書いている作家の「あるある」で 夏休み後半にブログのアクセス数が急増します(笑)。 藁にもすがりたい気持ち、わかります。 2016年にポプラ社さんから発行した拙著ですが、 東京の下町を舞台に、駅前再開発に反対する 老舗モツ焼き屋一家の奮闘を…

泥濘

【読書日記】8/16読了 『泥濘』黒川博行(文藝春秋) “疫病神シリーズ”の最新作。文句なく面白い。 ヤクザの桑原、一応カタギの二宮コンビが、 今度は老人ホーム、オレオレ詐欺に金脈を見つけ、 その筋、はたまた警察OBとやりあう話。 テンポのよさ、会話…

生き残り

【読書日記】8/9読了 『生き残り』古処誠二(角川書店) いやもう、この本はすごい。 著者の作品はかなり前から注目していました。 第二次世界大戦の、主に南方線線で敗色の濃い日本軍の 有り様を、見て来たのでは? というくらいにリアルに 描いた作品たち…

闇市

【読書日記】8/5読了 『闇市』マイク・モラスキー編(新潮文庫) 戦争を考える季節になりましたね。今年の一冊はこれ。 戦中戦後の「闇市」が作中に現れる小説を集めたもので、 太宰治、坂口安吾、永井荷風、野坂昭如などなど、 錚々たる作家の名が連なるの…

本日

51回目の誕生日。 実家の母から最中、1967年8月5日の新聞コピーなどが届く。 戦後から22年目、沖縄返還の前である。 テレビ欄を見ると、黄金バット、宇宙家族ロビンソン。 野球の試合は「阪急 vs. 西鉄」だって。

火影に咲く

【読書日記】8/1読了 『火影に咲く』木内昇(集英社) しみじみと、イイ本だなあ、と読了後につぶやく。 頃は幕末、とあればお馴染みの英雄たちの話…… ではなく、脇キャラの逸話を、丁寧に丁寧に描く。 決してドラマチックなスジではないのだけれど、 ああ、…

星夜航行

【読書日記】7/27読了 『星夜航行』飯嶋和一(新潮社) 上下巻で計1100ページある大作、読了に一週間かかったけれど、 それはそれは幸せな読書でありました。 時は戦国、家康の嫡子・信康に使えていた男の一代記。 侍から商人となり、南蛮貿易や秀吉の朝鮮出…