鰹通信

文筆屋ささきかつお のblogです。近況、お知らせ、読書日記など書いてます。

小さな場所

【読書日記】12/7読了 『小さな場所』東山彰良(文藝春秋) 読んでよかったな、と心から思える本が 年に数冊ありますが、これがそれ。 台北の紋身街(日本だと歌舞伎町かな)に 暮らす少年の目を通して描かれた、 雑多な、猥雑な、街の、人々の物語。 街の匂…

欺す衆生

【読書日記】12/4読了 『欺す衆生』月村了衛(新潮社) 著者の作品にはじめて触れたのは『土漠の花』(幻冬舎)でした。 こんなリアルなものを書く人がいるんだと、驚いたの覚えてます。 かと思えば、こんな 爆笑ギャグ小説 も書かれており、脱帽。 ああ、こ…

本日発売です

本日(11/29)、 世の中的には「いい肉」の日でもありますが、 この本の発売日でもあります。 ラストで君は「まさか!」と言うシリーズ最新巻 『 真夜中の動物園 』でございます。 (表紙:動物の足跡なんですよ、お洒落!) 一昨年の シリーズ第一作目 を書…

新刊情報

あいやもう、すんごく久しぶりの新刊ご案内でございます。 『ラストで君は「まさか!」と言う』シリーズの新刊。 「真夜中の動物園編」 「涙の宝石編」です。 動物園は、ささきかつお、涙の〜は、ささきありが それぞれ執筆に参加させていただきました。 朝…

罪の轍

【読書日記】11/17読了 『罪の轍』奥田英朗(新潮社) 奥田さんのこの時代の作品としては、 『オリンピックの身代金』があり、 かなり引き付けられた記憶があります。 で、本作も前回の東京五輪前夜の話。 障害を抱える北海道出身の男が犯罪を重ね、 その足…

まくらばな

【読書日記】11/17読了 『まくらばな』柳亭小痴楽(ぴあ) あいやどうも、えらいご無沙汰でございます。 仕事で古今東西の名著を読み耽っておりまして、 自分の読書がなかなか出来なかったのです。 さてさて、後輩S君からいただいたのは、 今秋、真打に昇進…

土に購う

【読書日記】10/27読了 『土に購う』河﨑秋子(集英社) その土地の出の方にしか書けない小説というものが、 絶対にあると思っています。 例えば目取真俊さんの沖縄もの、 また例えば青来有一さんの長崎もの、 桜木紫乃さんの北海道ものも個人的には好きです…

カインは言わなかった

【読書日記】9/29読了 『カインは言わなかった』芦沢央(文藝春秋) 久しぶりのイッキ読み本。 夜も更けたし明日も早いから、半分で止めよう、 いやもう少し、もう少し、と止まらなくなって、 結局最後まで。(今朝、寝不足) 狂気的な舞台芸術家の元、彼に…

雑感

書かせていただいた本が重版出来となると、 この上ない幸せとなるわけです。 一方でここ最近、「子供が、すごく面白いって」 「夢中になって読んでます(写真付)」という 連絡を頂戴しております。 これがまた、この上なく嬉しい。 自分がどうして物語を紡…

ライフ

【読書日記】9/26読了 『ライフ』小野寺文宜(ポプラ社) 小野寺さんが描く、社会のメインストリートを ちょっとだけ外れてしまった若者が好きです。 それは親近感だけでなく、彼の存在を肯定する 筆致や周囲の人たちの善意が垣間見えるから。 江戸川区平井…

落花狼藉

【読書日記】9/26読了 『落花狼藉』朝井まかて(双葉社) 個人的にですが、今年のNo.1(現時点で)。 遊郭・吉原を題材にした話は落語、歌舞伎や、 あまたの時代・歴史小説にも出て来ます。 引き込まれたのは、華やかな世界観だけでなく、 江戸の初期、駿府…

また明日

【読書日記】9/21読了 『また明日』群ようこ(幻冬舎) 群さんが描く、飄々としてホンワカとして、 でも人生の芯をついている筆致が好きです。 人を見据えておられるのだなあ、と。 本書は昭和〜平成を生き、再会した五人の クラスメイトの、それぞれの物語…

蓮二のレンズ 演芸写真家・橘 蓮二が切り取る世界

【読書日記】9/13読了 『蓮二のレンズ〜演芸写真家・橘 蓮二が切り取る世界』 Pen+(CCC メディアハウス) 写真グラビアのMOOK本を紹介するのは珍しいのですが、 これは別格だと思います。 写真家・橘蓮二さんがカメラに収めた芸人さんたちは、 その瞬間の息づ…

地先

【読書日記】9/5読了 『地先』乙川優三郎(徳間書店) 滋味……という言葉が読了後に浮かびました。 乙川先生の作品は味わい深いものが多いのですが、 本作も期待通り「ああ、小説ってイイなあ」と。 これといって波乱の展開があるでもない。 登場人物は、どこ…

重版御礼

(=゚ω゚)ノ おはようございます。執筆に参加させていただいた 『ラストで君は「まさか!」と言う』(PHP研究所) 「予知夢」編が11刷、「恐怖の手紙」編が3刷となりました。 ありがとうございます! 同シリーズで書かせていただいた 『Q部あるいはCUBEの始動…

Rのつく月には気をつけよう 賢者のグラス

【読書日記】9/1読了 『Rのつく月には気をつけよう 賢者のグラス』 石持浅海(祥伝社) 個人的には、待望の続編です。 大学時代からの仲間が酒を酌み交わしながら、 何気ない日常の謎を、その場で解いていく話。 どーってコトない短編の連続なんですが、 い…

虹にすわる

【読書日記】8/14読了 『虹にすわる』瀧羽麻子(幻冬舎) これはいい本だなあ、と読了後にしみじみ思う。 とりたてて大きな事件が起こるでもない。 スーパーヒーローが登場するでもない。 けれど、登場人物の背景、エピソードの丁寧さが とても心地よくて、…

化物蠟燭

【読書日記】8/8読了 『化物蠟燭』木内昇(朝日新聞出版) ざっくりいうと、江戸市井の「あやかし」もの。 でも木内さんにかかれば、上質な江戸の粋が見える。 あまたある時代モノとは明らかに一線を画してる。 それは練られた言葉遣いだったり、 ちょっとし…

いるいないみらい

【読書日記】8/6読了 『いるいないみらい』窪美澄(角川書店) 市井の人々の、鬱屈として、如何ともしがたい日常を 描かせたら、窪美澄さんの右に出る人はいないと思う。 どこにでもいる、当たり前でありながら、 でもそれが本人たちにとっては、堪らない現…

図書室

【読書日記】8/5読了 『図書室』岸政彦(新潮社) 同世代の作家さんなんですが、大学の先生でも あられます。現代民俗学的な本も結構好きです。 本書は中編と、自伝エッセイが入ってまして、 小説は中年女性が振り返る大阪での暮らし、 エッセイは、これまた…

ザ・ベストミステリーズ 2019

【読書日記】8/4読了 『ザ・ベストミステリーズ 2019』(講談社) 推理作家協会編の、この一年に発表された短篇から、 選ばれたナイスな短篇ミステリーを収めた本。 毎年、楽しみにしている一冊です。 今回の個人的ヒットは 宇佐美まことさん「クレイジーキ…

平場の月

【読書日記】7/30読了 『平場の月』朝倉かすみ(光文社) うん、傑作だと思いました。 人生が見えて来た50近い男女、中学同級生が再会し、 静かな大人の恋が描かれている……だけではなくって、 これって恋愛小説のククリではなく、 諦観と、それにもがく人…

緋の河

【読書日記】7/24読了 『緋の河』桜木紫乃(新潮社) こんな、魂を鷲掴みにされる本に出会えることは 年に数回しかないので、とても幸せでした。 直木賞作家が紡ぐ長編は、著者の故郷のパイセン、 カルーセル真紀が主人公のモデル。 今でこそやっと普遍化し…

天才の思考 高畑勲と宮崎駿

【読書日記】7/20読了 『天才の思考 高畑勲と宮崎駿』鈴木敏夫(文春新書) 私事、ジブリ作品に出会ったのは、大学時代の トトロだったと記憶しています。 一人で吉祥寺の映画館へ行き、親子連れの中に(笑)。 以来30年近く、ほとんどの作品を観てきたわけ…

いつかの岸辺に跳ねていく

【読書日記】7/16読了 『いつかの岸辺に跳ねていく』加納朋子(幻冬舎) 加納さんの作品は、仄暗い中に、フワンとした優しさが 垣間見える感じがとっても好きで、お気に入りです。 なんですが、この作品は従来のものとは一線を画すなあと。 男女の出会いから…

短篇ベストコレクション 現代の小説 2019

【読書日記】7/16読了 『短篇ベストコレクション 現代の小説 2019』(徳間文庫) 昨年発表された名作を取り揃えた、お得な一冊。 700ページ近いブ厚さなので、毎晩少しずつ読みました。 有名な方から、ベテランさん、新人さんまで多種多様で、 ミステリ、SF…

あの子のカーネーション

私事、毎朝の日課として、ラジオ体操〜筋トレ、 からの漢字ドリル、そして敬愛する作家さんの 作品を2Pほど写文してから、その日の仕事に 取りかかることにしています。 今年、春頃から書き写していたのが、これ。 伊集院先生の若き日のエッセイ集でありま…

夢見る帝国図書館

【読書日記】6/19読了 『夢見る帝国図書館』中島京子(文藝春秋) いやぁこれ、面白いです! 現時点で今年のmyナンバー1ですね。 上野の奥にある「国際こども図書館」は 個人的にも縁のある所なのですが、 舞台はその周辺。 物書きの「私」が、喜和子さん…

検事の信義

【読書日記】6/10読了 『検事の信義』柚木裕子(KADOKAWA) 佐方貞人シリーズの最新作ですね。 罪をまっとうに裁かせることを信義とする検事。 その愚直なまでの誠実さが、組織の黒さに浮いていて、 それでも自分の正義にこだわる彼に惹かれる。 中短編を集…

白昼夢の森の少女

【読書日記】5/20読了 『白昼夢の森の少女』恒川光太郎(角川書店) 幻想的な小説を書かせたら、右に出る者はいない。 そう個人的には思っている恒川さんの短編集。 単行本に収録されてない、バラエティな作品たちです。 表題の植物化していく人々の話や、 …