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鰹通信

文筆屋ささきかつお のblogです。近況、お知らせ、読書日記など書いてます。

五十音ばなし「お」

「おしどり」

 

「是非ともこのワタクシを推していただきたい」
「おしどり」ならぬ「推し鳥」希望の鳥がいた。
洗濯物を取り込もうとベランダに出ていた時だ。
「ほら、アイドルグループでも、オシメンって」
「それは知っているが」と私は反駁する。
「何ゆえ、私が鳥を推薦しなければならぬのか」
「もうすぐ鳥界の総選挙があるのです。そこで」
「ナンバーワンを決めるとでも」
「はい」
「おヌシは、そこでナンバーワンになりたいと」
「いえ、上位20に入れば、レギュラーの座に」
「鳥のレギュラーってなんだよ」
「世間に認識していただける鳥、ということで」
「そんなの知らんがな」
「そこをどうにか、お力添えを」
やにわに推し鳥希望鳥は身体を屈め頭を垂れる。
鳥なりの土下座アピールだった。政治家かお前。
土下座を解こうとせず、私はただ鳥に困惑する。
「わかったよう。おヌシを推し鳥にするってば」
「ありがたき幸せ」
「でもよ。投票用紙入りCD買うとかは嫌だぜ」
「経済的負担は、おかけしません」
「では何を」
「ワタクシを推し鳥とする、と宣言して下さい」
「わかった。私は君を推し鳥としよう」
「クワアアア」
嬉しさと思える声をあげて、推し鳥希望の鳥は
拙宅のベランダからフワリと飛び立っていった。
やれやれだ、と私は残りの洗濯物を取り込んだ。
その鳥が総選挙でレギュラーになったか否かは
知るよしもない。って、何なんだよ、この話は。