【読書日記】
金革(著)、金善和(訳) (太田出版)
私事、リアルに弱い。泣きの映画、小説、TVドラマを
見せられても、それが作り物と思って泣けないでいる。
(あ、でも最近年取って涙腺緩くなったかも)
だがしかし、実話となると、どうにも感情抑制機能が
バカになってしまうのだ。
本書は脱北したストリートチルドレンの半生記。
近くて遠いあの国のことは謎だらけで、
それゆえにマスコミはあれやこれやとニュースにあげる。
識者などの伝聞、推測などをもとに伝える。
ニュースソースが乏しいがゆえに同じ動画が繰り替えされる。
まあぶっちゃけ、食傷気味になってくる。
こんなに非常時になっても、無関心になってる。怖い。
そんな時に読んだこの本は、1982年に生まれた男の話。
両親を亡くし、街をさまよい、死地をさまよい、
夥しい数の死体を見てきた「リアル」が綴られる。
かの国の内側にいた、瀕死だった当事者の話なのだから、
食糧難で荒んでいく人民の心がズバズバ伝わってくる。
こんなに近くに、こんなに最近に、でもって現在も
こんな状況が繰り広げられている、という現実を
一冊の本から知ることができる。なかなかに心が震えた。
うん、すごいぞ。いろんな意味で。