鰹通信

文筆屋ささきかつお のblogです。近況、お知らせ、読書日記など書いてます。

ひと

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【読書日記】9/12読了

『ひと』小野寺史宜(祥伝社

心の底がジンと暖かくなる本。出逢えてよかった。

恥ずかしながら、小野寺さんはノーマークでした。

とりたてて大仰なストーリーがあるわけでもない、

とてつもないキャラいるわけでもない、

いたって普通の、今を生きる「ひと」がいる。

親を相次いで亡くし、大学を中退して底にいる若者が

ふとした出会いで前を向き、先を考えていく。

それだけの話なのに、何故だろう、涙が出るくらいに

行間から感情がこぼれ落ちてくるのが読んでいてわかる。

この感覚、吉田修一の初期作品、柴崎友香作品が

好きな人ならわかってくれる(と信じたい)はず。

それと主人公視点の、デティールに凝った描写も好き。

南砂町から大手町まで行かず、手前の日本橋で降りた方が

東西線の運賃が少し安くなるとか。

ちゃんと見て、感じて、丁寧に描いている、そんな作品。

久しぶりに人にオススメしたい一冊です。