鰹通信

文筆屋ささきかつお のblogです。近況、お知らせ、読書日記など書いてます。

国宝

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【読書日記】10/1読了

『国宝』上下巻 吉田修一朝日新聞出版)

いやもう、エライものを読んでしまったな、と。

デビュー時から吉田さんの著作はすべて読んでいるのですが、

これもまちがいなく、傑作でしょう。

上巻は夜更かしして、下巻は読了後、興奮で寝つけなかった。

頃は昭和の中ごろ、任侠の出の主人公が梨園に入り、

師匠の息子らと愛憎を繰り返し、人間国宝になっていく……

ある女形の一代記なんですが、歌舞伎の演目を通しての、

その生き様ってのが、どうにもこうにも業&粋でありまして、

ため息が出るほどに巧い。美味い。

半世紀以上の時間をエッジの効いた緩急の付け方で飽かせず、

巧みなお国言葉でありありと場面を映し出す。見事です。

地の文が、新しい「語り」の手法なんですが、

個人的には古今亭志ん朝師匠の声が聞こえてきました。

 

これ読んだあと、しばらくは、どの小説もくすんじゃうな。