鰹通信

文筆屋ささきかつお のblogです。近況、お知らせ、読書日記など書いてます。

不定期連載

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第三話「古文書 ほととぎす」

我がW大学日本史研究室(虎山牛太郎教授)一行は、
江戸時代中期からある竹山家土蔵の調査を行った。

 

 そこで我々は、面白い古文書を発見したのである。
『不如帰考』と銘打たれた和綴じの冊子を開くと、
あの有名な「ほととぎす」の歌が……。

 

 

鳴かぬなら 殺してしまえ ほととぎす
織田信長

 

 

鳴かぬなら 鳴かせてみせよう ほととぎす
豊臣秀吉

 

 

鳴かぬなら 鳴くまで待とう ほととぎす
徳川家康

 

 

小学生でも知っているだろう、
この国を制した三人を表現した歌である。

 

 

しかし、めくっていくごとに驚くべき歌が目に入ったのだ。

 

 

鳴かぬなら 私が泣いちゃう ほととぎす
清少納言

 

 

えっ、平安時代からこの歌は存在していたのか……。さらに、

 

 

鳴かぬなら 私は泣かない ほととぎす
紫式部

 

 

おー、清少納言への対抗心むき出しだ。
伝承とはいえ、新たな史料の出現に我々研究班は色めく。
さらにページをめくるのである。

 

 

鳴かぬなら 太平洋ぜよ ほととぎす
坂本龍馬

 

 

鳴かぬなら 桜島でごわす ほととぎす
西郷隆盛

 

 

幕末の志士たちも?
我々は戸惑いながらも、さらにページをめくる。

 

 

鳴かぬなら 雨ニモ負ケズ ほととぎす
宮沢賢治

 

 

鳴かぬなら 人間だもの ほととぎす
相田みつを

 

 

鳴かぬなら Let's sing together ほととぎす!
ルー大柴

 

 

「…………」

 

 

私たちは静かに古文書を閉じ、竹山家土蔵を後にしたのである。