鰹通信

文筆屋ささきかつお のblogです。近況、お知らせ、読書日記など書いてます。

不定期連載

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第六話「寝耳に」

ホウホウ、という聞き慣れない声に目を覚ますと、

枕元にぼんやりと立っていたのは、

「いかにも、ミミズクである」

「な、なぜミミズクが私の枕元に……」

あ然として、その愛らしいモフモフを眺めていると、

「なぜ私がここにいるのか、知りたいのだろう」

心を見透かしたように、ミミズクは目をつぶる。

「問いたいのだ、ミミズクとフクロウの違いを」

「そんなコトを寝こみを襲ってまで……」

私は困惑するが、これは知っている雑学であった。

「耳のような羽がついているのが、ミミズク」

「ホウ……」

コイツ、知っておったのか、と驚いているようだ。

「だが、シマフクロウにも耳羽はあるのだよ」

「うっ……」

そんな例外まで、このミミズクは知っていたのか。

「じゃが、私がここにいる理由は、それでない」

「違うのですか」

「さよう、オヌシは寝ておったろう。だからな」

「だから?」

「寝耳に水、ならぬ、寝耳にミミズク。なんちって」

「そ、それを言いたいがために……」

「くだらないか」

「くらだないか、くだらなくないかと問われれば」

「くだらない、そう言いたいのだろう。だがな」

そういってミミズクは足もとを見る。

一匹のミミズが、うねうねとのたくっていた。

「私が来なければ、コヤツがオヌシの耳に……」

「ひゃあ」と私は声をあげる。

「寝耳に水、ならぬ、寝耳にミミズ。だったのよ」

「恐ろしい話です」

「だろう。ではこれにて、失礼」

そう言って、ミミズクは闇の中へ消えていった。