鰹通信

文筆屋ささきかつお のblogです。近況、お知らせ、読書日記など書いてます。

不定期連載8

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第八話「〜になります」

私事で恐縮だが、言葉を扱う仕事をしていると、

不思議な日本語表現に戸惑うことがある。

その一つが「〜になります」である。

先日とあるファミレスで本日のランチを注文する。

数分後「お待たせしました。本日のランチになります」

と私の前にミックスフライランチが置かれた。

はて、と思う。この「〜になります」がひっかかる。

「〜です」でいいのに、何故「〜になります」のかと。

モヤモヤした気持ちで昼食をとった。

 

そしてまた、別の店で昼食をとった時のことである。

怪しげな下町の食堂だったのだが、メニューに

「とり」と書かれてある。なんだろう、これは? 

持ち前の好奇心から私は「とり」を注文した。

数分後、店の主と思われる老人が「お待たせしました」

と私の前に置いたのは、白い卵であった。

「こ……これは?」

「こちらは、とり、になります」

その言葉に私は卵を凝視する。

果たして、その卵は微かに動いたと思いきや、

中から殻が壊され、鳥の雛が現れたのである。

主は言う。「ほらね、とり、になったでしょう?」

ニンマリ笑うと、主は「サービスです」と刺身を置く。

「こちらは、ブリ、になります」

皿に盛られた刺身は「カンパチ」……出世魚だった。

 

(この話続く……かも知れない)