鰹通信

文筆屋ささきかつお のblogです。近況、お知らせ、読書日記など書いてます。

続 横道世之介

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【読書日記】3/20読了

『続 横道世之介吉田修一中央公論新社

おかえり、久しぶり、世之介。

ページを捲りながら、心の中で呼びかけていた。

そのくらい、個人的に愛着のあるキャラであり、

同世代の、自分の分身みたいな存在。

前作は大学生だった彼が、バブルに乗り遅れ、

ブラブラ過ごす何事もない1年の記録……だけど、

この何事もない日々が愛おしくて堪らない。

何だろ、これ。

フツーなんだけど、そのフツーがいいのだ。

いろいろな日々はあり、出会いと別れもあるけど、

彼の前に現れる人たちは、みんな彼との出会いで

いい人になっていき、それが2020年の時制で過去を

顧みるという、結末が見える構成になっている。

ああ、みんな、生きているんだな、と。(一人を除き)

 

ずっと、いつまでも読んでいたい小説だった。

しばらくしたら映像となって再会できるのだろう。

それも楽しみだが、30代の世之介にも会ってみたい。

 

吉田修一さんの前作『国宝』は、

梨園に人生を捧げた男たちの壮絶なドラマだったけど、

世之介は彼が街角に立ってそうな、フツーのお話。

だけど、これがまたイイんだな。