鰹通信

文筆屋ささきかつお のblogです。近況、お知らせ、読書日記など書いてます。

欺す衆生

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【読書日記】12/4読了

『欺す衆生月村了衛(新潮社)

著者の作品にはじめて触れたのは『土漠の花』(幻冬舎)でした。

こんなリアルなものを書く人がいるんだと、驚いたの覚えてます。

かと思えば、こんな 爆笑ギャグ小説 も書かれており、脱帽。

ああ、こういう方こそ「小説家」なんだなあと。

 

さて本作、今年の山田風太郎賞でした。(授賞式行きました)

ざっくり言うと、詐欺師の半生を描いたノワールもの。

原野商法、牛肉、海外ファンドなどなどに手を染めていく。

最初は気弱な主人公がだんだんと黒く染まっていく様が

もうなんともリアルでして、このリアルさは何だろうと

考えてみると、個人的に好きな黒川博行先生のノワールものに

通じるものがあるんだなあ、と。893、出て来るし。

これでもかと悪い話のオンパレードながら嫌悪感がないのは

彼も一人の人間である、という描き方で身につまされるから。

きっと、どこにでもいるような人で、話であったりする。

だからこそ面白く、怖く感じるのでありました。お見事です。