鰹通信

文筆屋ささきかつお のblogです。近況、お知らせ、読書日記など書いてます。

輪舞曲(ロンド)

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【読書日記】6/28読了

『輪舞曲(ロンド)』朝井まかて(新潮社)

個人的2019年の No.1 が『落花狼藉』でありんして、

その作者・朝井まかてさんの新作となれば期待大。

で期待通りのすんばらしい小説でした。

時は明治末期から昭和のはじめ、

女優という言葉にまだ馴染みのない演劇界に現れ、

一瞬の輝きを放って消えた伊澤蘭奢という女性。

彼女の太く短い生涯を、取り巻いた男たちの述懐で

見せていく、いや魅せていくという手法。見事。

恥ずかしながら蘭奢も、徳川夢声も、内藤民治も

よく知らなかった自分にとって、すべてが鮮烈で

生き生きと活字から這い出てくるんですよ。

史料をなぞるだけの歴史モノが多い昨今、朝井さんの

作品はひとりひとりに魂がこもっている。

だから作中に吸い込まれていく。

こういう読書は年に数回もできないから、僥倖。

ごちそうさまでした。お相手は中井貴一でした。