鰹通信

文筆屋ささきかつお のblogです。近況、お知らせ、読書日記など書いてます。

ははのれんあい

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【読書日記】2/15読了

『ははのれんあい』窪美澄角川書店

テーマはド直球で「家族」。

このテーマは小説の鉄板として昔昔からあるわけで、

有吉佐和子山崎豊子谷崎潤一郎重松清、etc.

巨匠達がこれでもかと重厚な物語を描いている。

では窪さんが描く家族とは? と読んでみる。

冒頭は新しい命が誕生する、ごく平凡な家庭のはずが、

徐々に歯車が狂いはじめて濃密な展開になる。

このあたりは窪さんの著作をずっと読んでいる身として

うむうむ、だよねえ、となるわけだけど、

思うに家族ってのは、一人一人の人間が集まったもので、

確執もあれば相愛もある。

だから面白いのかも知れないが、ここに時を経ての

変化が生じることから、グイグイと引き込まれる。

小さな幸せを噛みしめていた母親が、

後半、息子の視点になることによって他人になる。

その変化! 当たり前のようで、これはこの人にしか

書けない小説だなあと、舌を巻くカメレオン。

令和の世となった今、新しい家族の小説がここにある。

特にP278〜279、祖母が孫に語るセリフが、もう……。

「……今はおだんごみたいに一緒にくっついているけれど、

そこから一人離れ、二人離れていくんだよ。家族って、

そういうもんだろいう」

「それでも家族は家族。離れて暮らしていても、心さえ

通じ合っていればそれでいいんだよ……」

 

なかなかに刺さりました。

オススメしたい一冊です。