鰹通信

文筆屋ささきかつお のblogです。近況、お知らせ、読書日記など書いてます。

二人の嘘

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【読書日記】8/30読了

『二人の嘘』一雫ライオン(幻冬舎

夕食後に読み始め、気づいたら午前3時でした。

こんなにブ厚い本にのめり込んだのは、

『盤上の向日葵』かなと思います。それくらい、傑作。

幼少期から天才と言われた女性判事が、

かつて懲役刑に処した男と再会することで話が動く。

自分の判断に間違いはないと自負する彼女が

男との関係が深くなるうちに、過去の事件の真相が

見えてくる……というミステリーなのですが、

(いや、ミステリーと括ってはいけないかも……)

登場人物たちの過去や今の状況、法曹界などの思惑が

微細に描かれていて、それだけ主人公への感情移入が

ハンパなくなりまして……もう、釘付けでした。

 

これ、現時点で今年の「myベスト1」だと思います。

東野圭吾、柚木裕子、天童荒太あたりが好きな方には

どストライクだと思いますよ。

 

 

 

 

ブランド

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【読書日記】8/19読了

『ブランド』吉田修一角川書店

あ、どうも、ご無沙汰です。本は読んでます。

著者の吉田さんは同年代でもあり、

見るもの、感じるものが近くて好きなんです。

デビュー作から全部追っている作家さんの一人。

本書は、タイアップなどで書かれた掌編が

ずらりと並ぶ、お総菜コーナーみたいな作品集。

どれも絶妙の味付けで、美味しい。

これで小説として成立するのか? てな分量でも

吉田さんにかかれば味わい深いものになるんですよね。

特に唸ったのは、ティファニーのタイアップ連載で

一見つながりのない掌編たちが実はカチカチっと

つながっているとわかったとき、精緻な寄せ木細工を

見ているような気持ちになりました。お見事です!

 

 

 

那須正幹先生のこと

仕事をしている目の高さに、このハガキをはっています。

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ご存じない方のために説明しますと、小生、2015年に

第5回ポプラズッコケ新人文学賞」で大賞をいただき、

今現在、こうして作家として活動しております。

で、このハガキは受賞後、選考委員長の那須先生から

いただいたもので、以来、ずっと目の前にはってあります。

最終選考で那須先生が強く推していただいたことで、

今の自分があるといっても過言ではありません。

恩人、雲の上の方、励ましてくれる存在、でありながら

パーティでご挨拶させていただいた時も、気さくに

お話させていただいたことを今でも覚えています。

「次なる作品に挑戦してください」

はい。チャレンジし続けようと思います。

 

那須正幹先生、ありがとうございました。

 

 

ラストで君は「まさか!」と言う[放課後ミステリー]

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今日(7/21水)あたりから書店さんに並んでいると

思いますので告知させてください。

執筆に参加させていただきましたPHP研究所刊の

「ラストで君は「まさか!」と言う」シリーズ新作、

「素敵なカン違い」です! ワァ〜パチパチ(歓声と拍手)

 

不肖ささきは、以下の5作を書かせていただきました。

 

●「神様の勘違い」

神様にお願いする小6男子。でも、その結果は?

 

●「同一人物」

国際交流会に参加した女の子の、ちょっとフシギな体験。

 

●「いとこはどこ?」

いとこと駅で待ち合わせ。でも、なかなか会えなくて。

 

●「ポンコツ タイムマシン」

未来から来た30点のテスト。これをやり直せば……。

  

●「花嫁探し」

探偵のもとに「写真の子を花嫁にしたい」と依頼がくる。

 

他にも面白話が満載の1冊となっておりますので、

書店さんに行かれた際には児童書コーナーにある同著を

手に取っていただき、そのままレジに進んでください。

 

どうぞ、よろしくお願いいたします。 <(_ _)>

 

附記。

本作でも、拙著『Q部あるいはCUBEの展開』の

キャラが登場しています。

よかったら探してみてくださいね。

 

星影さやかに

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【読書日記】7/15読了

『星影さやかに』古内一絵(文藝春秋

戦前戦後の東北に暮らす、家族三代を描いた、

家族もの、といえば家族ものなのだけれど、

それぞれの時代を生きてきた祖母と、息子、

その嫁と、夫婦の次男が登場して話がまわる。

息の詰まるような戦時下の生活、

田舎ならではのシガラミといったものに

それぞれの苦労を感じていくのだが、

終盤、徐々に紐解かれてゆく、それぞれの想いが

見えてくると、それがボディブローのように、

じわじわと効いてきて、涙腺が崩壊していきます。

ああ、イイ本に出会えたなあ。幸せな気持ち。

だから本って、好きなんだよね。

 

 

 

雨夜の星たち

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【読書日記】7/14読了

『雨夜の星たち』寺地はるな(徳間書店

私が今さら言うまでもないんですが、

最も注目されている作家さんと思います。

どうして寺地さん作品に引き込まれるのかなあと思うに、

人の描き方なのかなと。小野寺史宣さんに近いかな。

さらっと書かれたさりげない描写で、その人が見える、

気づかないうちに読み手は作品に入っているんです。

本作、他者に興味がなく感情の動かない女性が主人公。

じゃあどうやって話が動くんだよ、ってことですが、

天動説のように彼女の周りが動くんですよね。

それがまあ、クセが強くて、すいすい読んじゃう。

寺地さん、まだまだいっぱい引き出し持ってそうだな。

ついていきたいと思います。

 

 

ナインストーリーズ

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【読書日記】7/14読了

ナインストーリーズ乙川優三郎文藝春秋

個人的に文章のお手本とさせていただいているのが

著者の乙川さんでして、その流れるような筆致は

今の自分が知っている限りナンバー1ではないかと。

その心の師、乙川さんの新作は、9つの短編。

これといって奇想天外な話があるわけでもない、

いたって普通の、市井の人たちの暮らしと人生だけど、

どれもどれも味わい深く、じっくりと読ませてくれます。

いつの日か、自分もこの境地にまでいきたいなと。

これぞ小説! って感じの作品です。

 

黒牢城

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【読書日記】7/11読了

『黒牢城』米澤穂信角川書店

著者を知ったのは10年以上前のことで、

インシテミル』というトリッキーな作品。

(※当時 こんなこと してました)

このとき、まだ古典部シリーズも知らなかったし、

『満願』などの作品も出てなかったし、

米澤さんの凄さを知るのは、後々のことでした。

で、本作。

正直、たまげました。歴史ものなんですもの。

それも黒田勘兵衛と、彼を幽閉してた荒木村重

史実を押さえながら、幽閉された勘兵衛が

レクター教授のごとく牢内から謎解きのヒントを与える。

それで村重は籠城中のミステリを解いていく……。

重厚で、人の心の奥深くを抉った筆致に、

ページをめくる手がとまりませんでしたよ。

 

現時点で、今年のmyベスト1ですし。

これ、次の直木賞候補になるべきでしょう。

そのくらい、オススメしたい本です。

 

ラス君 新刊です!

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シリーズ1作目から執筆に参加させていただいております、

『ラストで君は「まさか!」と言う』の最新巻、

「素敵なカン違い」編が、まもなく(7/21)発売となります。

本日、版元PHP研究所さんから見本誌をいただきました。

詳細は発売日頃にお伝えしますが……

今回も面白いですよ。(自画自賛w)

皆さま、どうぞよろしくお願いいたします。